下関市立美術館

下関市立美術館

コレクションの一部をご紹介――工芸

※こちらに掲載されている作品が展示中かどうかについては美術館までお問い合わせください。
※コレクションは、年4〜5回程度開催している『所蔵品展』の中で、作品・テーマを変えて展示しています。 常設展示はございませんので展覧会スケジュール等でご確認ください。

 

古代オリエントコレクション
『ローマン・グラス』

前1世紀〜2世紀頃・ガラス
左から『双耳紐飾付長瓶』『取手付広口瓶』『双耳二連瓶』


起源を求めればメソポタミアを中心とする中近東に至り、 数千年をさかのぼるガラスの歴史であるが、容器としての使用は紀元前1500年頃からはじまったといわれる。 その長い歴史の中でもきわだった技術革新として知られるのが、吹きガラスの登場である。 これは紀元前1世紀の中期から後期にかけてローマ領シリアにおいて発明されたと考えられている。 この技法は、鉄の管の先端に溶けたガラスを巻き、管に息を吹き込みガラスを膨らませて成形するというものである。 これによってガラス容器の製造が容易になり、量産も可能となった。 『ローマン・グラス』として知られるこの古代のガラスは、 ローマ帝国の領内に普及し、重要な交易品となった高級品から日用品まで多彩な展開をみた。
下関市立美術館では、盃や鉢など16点のローマン・グラスを所蔵する。 いずれも日常に寄り添った品と思われる小品だが、 古典世界の光と軽やかな息吹を感じさせる佳品である。


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エナメル彩ゴブレット蓋付

19世紀・ガラス


ヨーロッパのガラス工芸はローマングラスを起点として隆盛し、 15〜18世紀のベネツィアガラスによって飛躍的に発展する。 やがてヨーロッパ各地にガラス作りの秘伝が伝わり、 各国独自の作風を発展させていった。 チェコ、ドイツ、イギリス、オーストリア、スペインなど、 それぞれ趣のあるガラス工芸が開花し、多くのガラス職人の手によって作り出された。 この作品はエナメルで華麗に装飾されたドイツのガラス工芸品。




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エミール・ガレ
『楓朝露文小瓶』(かえであさつゆもんしょうへい)

1900年頃制作・ガラス


くもの巣にかかる楓の葉と露の水滴が小さなガラスの花瓶を飾る。 器形は、透明ガラスにワイン色のガラスを被せ、部分的に玉虫色のガラス粉を溶着し型吹きして成形される。 装飾部分では、楓の葉やくもの巣がエッチング手法で浮き彫りにされ、 下地の透明ガラスの上で葉やくもの巣が中空に浮いているように見える。
この作品のくもの巣や朝露などという微視的な題材を取り上げる繊細な感覚には、 日本人の感性に通じるものがあり、 「ナンシーで日本人として生まれた」と評されたガレの精神が表れている。 落葉と朝露により表される季節と時間は、ガレ流に考えれば、 晩秋という季節のたそがれと、早朝という一日の始まり、 つまり消滅と生成という二律背反する観念の象徴である。 生成と消滅―生と死のイマージュ、それはガレが生涯追いつづけた彼の根本的なモチーフであった。

エミール・ガレ Emile GALLE (1846年〜1904年)
フランスのナンシーに生まれる。父親のガラス器製造・製陶業を継承する。 ガラス工芸の工房を営む。新しいガラス工芸技術を創案し、 草花や昆虫を象徴主義的な叙情性の中で造形化して、ガラス工芸に新生面を開く。 ナンシー派アール・ヌーヴォーの指導者として活躍した。

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古代オリエントコレクション
『ホルス神像』

エジプト末期王国時代(前1000〜350年頃)・ブロンズ


穀物神であり死と復活の神であるオシリスと、豊穣と呪術の女神イシスとの間に生まれたのがホルスである。 オシリス神話では、砂漠やオアシスの守護神で暴力神セトは兄オシリスを謀殺し、 遺体をエジプト全土に撒き散らした。 オシリスの妻イシスはこれらを拾い集めて復活させ、ホルスを生んだとしている。 ホルスは父の仇を討つためセトと戦い、二度の勝利の後エジプトの王位についたという。 このため、ホルスは国王の守護神となり、王自身もホルスの化身と考えられるようになった。 ホルスは元来天空の神で、太陽と月の目を持つハヤブサの姿で表されるが、 オシリス神話の反映から様々な姿で表現されている。 この作品は末期王国時代に作られたもので、ハヤブサの姿を写実的に表現している。 頭頂部、尾翼の先に穴があり、足の爪先が欠損している。 両目は象嵌されていたと考えられるが、今は喪失している。 小ぶりながら古代エジプトの金工技術の高さを示している作品である。


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古代オリエントコレクション
『シャワブティ』

エジプト新王国時代〜末期王国時代(前15世紀〜4世紀頃)・陶


古代エジプト人は特殊な宗教観により、死後身分に関わらず、 王といえども労働を課せられると考えていた。 そこで自分の代わりに労働に従事してもらうため、シャワブティと呼ばれる小人形を埋葬した。 多くは手に鋤や鍬を持ち、背に籠を背負ったミイラの形をとる。 釉薬をかけた美しい色彩のものや、埋葬者に似せた端正な顔立ちのものなどがある。


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