○下関市文化財保護条例
平成17年2月13日
条例第118号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市指定文化財(第4条―第20条)
第3章 下関市文化財保護審議会(第21条―第26条)
第4章 雑則(第27条)
第5章 罰則(第28条―第30条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、法及び山口県文化財保護条例(昭和40年山口県条例第10号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で、本市の区域内に存するもののうち重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなして、その価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で市民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
(4) 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋りょう、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(5) 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)
(財産権の尊重及び公益との調整)
第3条 下関市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行に当たっては、文化財の所有者その他の関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な文化的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、教育委員会がこの条例の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。
第2章 市指定文化財
(指定等)
第4条 教育委員会は、本市の区域内に存する有形文化財(法及び県条例の規定により指定されたものを除く。)のうち重要なものを、下関市指定有形文化財(以下「市指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、本市の区域内に存する無形文化財(法及び県条例の規定により指定されたものを除く。)のうち重要なものを、下関市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)に指定することができる。
3 教育委員会は、無形文化財を指定するに当たっては、当該無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 教育委員会は、無形文化財について第2項の規定による指定をした後においても、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
5 教育委員会は、本市の区域内に存する有形の民俗文化財(法及び県条例の規定により指定されたものを除く。)のうち重要なものを、下関市指定有形民俗文化財(以下「市指定有形民俗文化財」という。)に指定することができる。
6 教育委員会は、本市の区域内に存する無形の民俗文化財(法及び県条例の規定により指定されたものを除く。)のうち重要なものを、下関市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
7 教育委員会は、本市の区域内に存する記念物(法及び県条例の規定により指定されたものを除く。)のうち重要なものを、下関市指定史跡、下関市指定名勝又は下関市指定天然記念物(以下「市指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
8 第2条第5号の「伝統的建造物群」の保存に当たっては、法第143条の規定に基づき、別に条例で定める。
(告示及び通知並びに指定書等の交付)
第5条 教育委員会は、前条の規定により、市指定有形文化財、市指定無形文化財、市指定有形民俗文化財、市指定無形民俗文化財及び市指定史跡名勝天然記念物(以下これらを「市指定文化財」という。)の指定又は認定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該市指定文化財の所有者若しくは占有者又は保持者若しくは保持団体に通知しなければならない。
(解除)
第6条 教育委員会は、市指定文化財が市指定文化財としての価値を失ったとき、その他特殊の事由があるときは、その指定を解除することができる。
2 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められるとき、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められるとき、その他特殊の事由があるときは、その認定を解除することができる。
3 市指定無形文化財の保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、市指定無形文化財の保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体すべてが解散したときは、当該市指定無形文化財の指定は解除されたものとする。
4 市指定文化財について、国及び県の指定文化財となったときは、当該市指定文化財の指定は、解除されたものとする。
(管理方法の助言又は勧告及び管理責任者)
第7条 教育委員会は、市指定文化財の所有者に対し、市指定文化財の管理方法に関し必要な助言又は勧告をすることができる。
2 市指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該市指定文化財の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 市指定文化財の所有者は、前項の規定により、管理責任者を選任したときは、その旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(無形文化財及び無形民俗文化財の保存)
第8条 教育委員会は、市指定無形文化財及び市指定無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、当該市指定文化財について、自ら記録の作成、伝承者の養成その他保存のため適当な措置を執ることができる。
2 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認めるものに対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
3 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認めるものに対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
(管理団体による管理)
第9条 教育委員会は、市指定文化財につき所有者が判明しないとき、又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められるときは、適当な団体を指定して、当該市指定文化財の保存のため必要な管理(当該市指定文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で、当該市指定文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行わせることができる。
2 市指定文化財の所有者又は占有者は、正当な理由がなくて前項の規定による指定を受けた団体(以下「管理団体」という。)が行う管理のために必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
3 管理団体には、第7条第1項の規定を準用する。
4 教育委員会は、第1項に規定する事由が消滅した場合その他特殊の事由があるときは、管理団体の指定を解除することができる。
(管理団体の管理の費用)
第10条 管理団体が行う管理に要する費用は、この条例に特別の定めがある場合を除くほか、当該管理団体の負担とする。
2 前項の規定は、管理団体と当該管理団体が管理する市指定文化財の所有者との協議により、当該管理団体が行う管理により当該所有者の受ける利益の限度において、その管理に要する費用の一部を当該所有者の負担とすることを妨げるものではない。
(届出事項)
第11条 次に掲げる場合には、市指定文化財の所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)又は保持者(保持者が死亡した場合は、その相続人)若しくは保持団体は、速やかに指定書又は認定書を添えて教育委員会に届け出なければならない。
(1) 市指定文化財の所有者及び占有者が変更したとき、又はその氏名若しくは住所を変更したとき。
(2) 市指定無形文化財の保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、及び保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したとき。
(3) 市指定文化財の全部又は一部を滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。
(4) 市指定文化財の所在の場所を変更しようとするとき。
(5) 市指定史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、所有者、土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったとき。
(6) 市指定文化財を公開し、又は公開のため出品するとき(教育委員会の勧告による公開を除く。)。
(管理又は修理の補助)
第12条 市長は、市指定文化財の管理、保存又は修理につき多額の経費を要し、当該市指定文化財の所有者若しくは管理団体又は保持者若しくは保持団体その他保存に当たることを適当と認めるものがその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、その経費の一部に充てさせるため、これらのものに対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 教育委員会は、市長が前項の規定により補助金を交付したときは、当該所有者若しくは管理団体又は保持者若しくは保持団体その他保存に当たることを適当と認めるものに対し、その補助の条件として管理、保存又は修理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、指揮監督することができる。
(2) 補助金を他の用途に使用したとき。
(3) 前条第2項の規定による指示又は指揮監督に従わなかったとき。
(補助に係る市指定文化財譲渡の場合の納付金)
第14条 第12条第1項の規定により、補助金を交付した市指定文化財のその当時における所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者は、補助に係る修理等が行われた後当該市指定文化財を有償で譲り渡した場合においては、当該補助金の額から当該修理等が行われた後市指定文化財の修理等のため自己の費した金額を控除して得た金額を教育委員会規則の定めるところにより市に納付しなければならない。
(現状変更等の制限)
第15条 市指定有形文化財又は市指定史跡名勝天然記念物の現状を変更しようとするとき、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、維持の措置をする場合又は影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 市指定有形民俗文化財に関し、その現状を変更し、その保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、あらかじめ教育委員会に届け出なければならない。
4 教育委員会は、第2項の規定による届出があった場合において、市指定有形民俗文化財の保護のため必要があると認めるときは、届出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関して必要な指示をすることができる。
(管理又は修理の技術的指導等)
第17条 教育委員会は、市指定文化財の保護上必要があると認めるときは、市指定文化財の管理又は修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。
(公開)
第18条 教育委員会は、市指定文化財の所有者(管理団体がある場合は、その者)又は保持者若しくは保持団体に対し、一定期間を限って、教育委員会が行う公開の用に供するため、当該市指定文化財を出品することを勧告し、又はこれを直接公開することを勧告することができる。
2 前項の規定による勧告に基づく出品又は公開のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。
4 第1項の規定による勧告に基づき出品し、又は公開したことに起因して市指定文化財が滅失し、又は損傷したときは、市は、所有者に対し、通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者、管理責任者又は管理団体の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷した場合は、この限りでない。
(報告及び調査)
第19条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定文化財の所有者、管理責任者若しくは管理団体又は保持者若しくは保持団体に対し、当該市指定文化財の現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況について報告を求めることができる。
2 教育委員会は、必要があると認めるときは、所有者の同意を得て調査を行うことができる。
3 前項の規定による調査によって損害を受けた者に対しては、市は、その通常生ずべき損害を補償する。
(標識等の設置)
第20条 教育委員会は、市指定文化財の指定をした場合は、当該市指定文化財の管理に関して必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。
第3章 下関市文化財保護審議会
(設置)
第21条 教育委員会に下関市文化財保護審議会を置く。
(任務)
第22条 下関市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)は、教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関し専門的事項及び技術的事項を調査審議し、並びにこれらの事項に関し必要と認める事項を教育委員会に建議する。
(組織)
第23条 審議会は、委員12人以内で組織する。
2 委員は、学識経験を有する者及び関係行政機関の職員のうちから教育委員会が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によって定める。
6 会長は、審議会の会務を総理し、審議会を代表する。
7 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議)
第24条 審議会の会議は、会長が招集する。
2 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 審議会の会議の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(幹事)
第25条 審議会に幹事若干人を置くことができる。
2 幹事は、関係職員のうちから教育委員会が任命する。
3 幹事は、審議会の所掌事務について委員を補佐するほか、会議に出席して意見を述べることができる。
(庶務)
第26条 審議会の庶務は、教育委員会事務局文化財保護課において処理する。
第4章 雑則
(委任)
第27条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会が定める。
第5章 罰則
(罰金等)
第28条 市指定有形文化財又は市指定有形民俗文化財を損壊し、損傷し、又は隠匿した者及び市指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、損傷し、又は衰亡するに至らしめた者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。
第29条 第15条の規定に違反して教育委員会の許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで、市指定有形文化財若しくは市指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は教育委員会の現状変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかった者は、3万円以下の罰金若しくは科料に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前に、下関市文化財保護条例(昭和44年下関市条例第1号)、菊川町文化財保護条例(平成5年菊川町条例第10号)、豊田町文化財保護条例(昭和49年豊田町条例第29号)、豊浦町文化財保護条例(昭和49年豊浦町条例第22号)又は豊北町文化財保護条例(昭和52年豊北町条例第9号)(以下これらを「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。
3 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。
附則(平成17年3月18日条例第331号)
この条例は、平成17年4月1日から施行する。