○下関市有林野条例

平成17年2月13日

条例第257号

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 貸付地(第6条―第12条)

第3章 分収林(第13条―第22条)

第4章 市行造林(第23条―第35条)

第5章 分収金(第36条―第40条)

第6章 雑則(第41条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、法令に特別の定めがあるもののほか市有林野の管理、森林資源の保続的培養と地域における産業の振興、森林レクリエーション、保健機能の確保等森林の持つ多面的機能の維持増進を図り、その適切かつ効率的な経営管理を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「市有林野」とは、市において森林経営の用に供し、又は供するものと決定した林野をいう。

(区分)

第3条 市有林野の区分は、次に定めるとおりとする。

(1) 行政財産 市の所有に属する森林原野であり、市において経営管理するもの(以下「直営林」という。)をいう。

(2) 普通財産

 市行造林 分収林特別措置法(昭和33年法律第57号)第2条第1項に規定する造林者(以下「造林者」という。)又は同条第2項に規定する育林者として分収契約を締結し、当該契約に基づき事業を行うものをいう。

 分収林 分収林特別措置法第2条第1項に規定する造林地所有者として分収造林契約(同項に規定する分収造林契約をいう。以下同じ。)を締結したものをいう。

 貸付地 契約により個人又は団体に貸し付けるものをいう。

 学校林 学校又は保護者の団体が、林業教育の向上のため、教育委員会又は学校長の責任において、市の経費によらないで管理する林野として定めたものをいう。

(経営の基本)

第4条 市長は、市有林野(原野を除く。)の荒廃の防止に努めるとともに、森林の多面的機能の発揮及び効率的な林業経営に努めなければならない。

(経営計画)

第5条 市長は、森林法(昭和26年法律第249号)第5条の規定による地域森林計画に即して、市有林経営計画を定めなければならない。

第2章 貸付地

(市有林野の貸付け)

第6条 普通財産は、次のいずれかに該当する場合には、その用途又は目的を妨げない限度において、契約により、貸付け(収益を含む。以下同じ。)をすることができる。

(1) 公用、公共用又は公益事業の用に供するとき。

(2) 公衆の保健の用に供する施設の用に供するとき。

(3) 営林、牧畜又は採草の用に供するとき。

(4) 特用林産物の栽培の用に供するとき。

(貸付期間)

第7条 普通財産の貸付けは、次の期間を超えることができない。

(1) 営林を目的として、土地を貸し付ける場合は、50年

(2) 特用林産物の栽培等を目的として、土地を貸し付ける場合は、5年

2 前項の貸付期間は、これを更新することができる。この場合においては、更新のときから同項の期間を超えることができない。

(貸付料)

第8条 普通財産の貸付料は、毎年定期に、これを納付させるものとする。ただし、数年分を前納させることができる。

2 貸付料の額は、市長が定める。

3 貸付料を納付期日までに納付しないときは、当該貸付料に、当該納付期日の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、年14.5パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する延滞金を徴収する。この場合において延滞金の総額が10円未満であるときは、これを徴収しない。

4 市長は、特別の理由があると認めるときは、延滞金の全部又は一部を免除することができる。

(貸付契約の解除)

第9条 市長は、普通財産を貸し付けた場合において、次のいずれかに該当する場合は、当該普通財産についてその契約を解除することができる。

(1) その貸付期間中に国又は地方公共団体及び公共的団体(以下「公共団体」という。)において公用、公共用又は公益事業の用に供するため必要を生じたとき。

(2) 貸付け後定めた期間内に目的を完成しなかったとき。

(3) 所定期間内に貸付料を納付しなかったとき。

(4) 貸付地の目的のほかにこれを使用したとき。

(5) 貸付地の権利を他人に譲渡し、又は担保に供したとき。

(無償貸付け等)

第10条 普通財産は、次に掲げる場合においては、これを公共団体に無償で貸し付けることができる。

(1) 公共団体において、ため池、用排水路又は信号機、道路標識その他公共用又は公用に供するため、当該施設の用に供するとき。

(2) 公共団体において、災害が発生した場合における応急措置の用に供するとき。

(3) その他市長が公共用又は公用に供するものと認めるとき。

2 前項の無償貸付けは、公共団体における当該施設の経営が営利を目的とし、又は利益を上げる場合には、これを行うことができない。

3 市長は、第1項の規定により、普通財産を無償で貸し付けた場合において、公共団体の当該普通財産の管理が良好でないと認めるとき、又は前項の規定に該当することとなったときは、直ちにその契約を解除しなければならない。

(標識の設置)

第11条 貸付契約を締結した者(以下「貸付契約者」という。)は、その区域を明らかにするため、市の示した標識を設置しなければならない。

(契約解除の効果)

第12条 市長が、第9条及び第10条第3項の規定により契約の解除をした場合は、貸付契約者は、土地を現況のまま市に返還するものとする。この場合において、貸付契約者が投じた費用はこれを賠償しない。

第3章 分収林

(分収造林契約の締結)

第13条 市長は、普通財産についての造林に関し、市、造林者並びに市及び造林者以外の者でその造林に要する費用の全部若しくは一部を負担するもの(以下「費用負担者」という。)の3者又は市及び造林者の2者が当事者となる分収造林契約を締結することにより、当該普通財産において市以外の者に造林させ、その収益を当該分収造林契約の当事者間において分収することができる。

2 国、県又は公的な森林の整備を行う公益財団法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第2条第2号に規定する公益財団法人をいう。)若しくは独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)との分収造林契約は、次項及び次条から第22条までの規定にかかわらず、締結することができる。

3 分収割合については市長が定めるものとする。

(分収造林契約の内容)

第14条 分収造林契約においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

(1) 所在及び面積

(2) 当該契約の存続期間

(3) 植栽(人工下種を含む。以下同じ。)すべき樹種及び本数

(4) 植栽の期間及び方法

(5) 保育の方法

(6) 伐採の期間及び方法

(7) 収益分収の割合

(8) その他の必要な事項

(収益の分収等)

第15条 分収造林契約に基づき植栽した樹木(以下この章において「分収木」という。)は、当該分収造林契約の当事者間の共有とし、その収益は、当該分収造林契約に定められた割合とする。

2 前項の収益とは、造林木の売払い代金並びに造林地の地上権及び造林木に関し、第三者から受けた損害賠償金、損失補償金その他これらに類する取得金から、次の経費を差し引いた金額とする。

(1) 造林木の売払い代金については、材積調査及び売払いに要した経費

(2) 損害賠償金、損失補償金その他の取得金については、その調査請求に要した経費

3 分収造林契約があった後において天然に生じた樹木であって、分収木とともに生育させるものとして市長が指定したものは、分収木とみなす。

4 民法(明治29年法律第89号)第256条の規定は、分収木には、適用しない。

(残存木等の帰属)

第16条 次の造林木は、市の所有に帰属するものとする。

(1) 造林木の主伐が終了し、又はこの契約が解除された場合において、収益の分収が完了した後、造林地の上に残存する造林木

(2) 造林木の買受人が買受けた造林木に関する権利を放棄したため造林地に残置された造林木

(分収造林契約の存続期間)

第17条 分収造林契約の存続期間は、80年を超えることができない。

2 市長は、特に必要があると認めるときは、前項の存続期間を更新することができる。

(保護義務)

第18条 市は、分収林については、次に掲げる業務について、協力するものとする。

(1) 火災の予防及び消防

(2) 盗伐、誤伐その他の加害行為の予防及び防止

(3) 有害動物及び有害植物の駆除並びにそのまん延の防止

(4) 境界標その他の標識の保存

(林産物の採取)

第19条 造林者又は費用負担者は、次に掲げる分収林の林産物を市と協議の上、採取することができる。

(1) 下草、落葉及び落枝

(2) 木の実及びきのこ類

(3) 分収造林契約のあった後において天然に生じた樹木(第15条第3項の規定により市長が指定したものを除く。)

(4) 植栽後20年以内において保育のため伐採する分収木

(権利の処分等の制限)

第20条 造林者又は費用負担者は、その権利を担保に供し、又は処分することができない。ただし、市長の承認を受けた場合は、この限りでない。

第21条 造林者又は費用負担者は、分収造林契約の目的以外の目的に分収木を使用してはならない。ただし、分収造林契約の目的を妨げないと認めて市長が承認した場合は、この限りでない。

(分収造林契約の解除)

第22条 市長は、次のいずれかに該当する場合には、分収造林契約を解除することができる。ただし、造林者又は費用負担者の責めに帰することができない場合は、この限りでない。

(1) 当該契約に定められた植栽期間の始期から1年を経過しても造林者が植栽に着手しないとき。

(2) 当該契約に定められた植栽期間が満了しても造林者が植栽を完了していないとき。

(3) 植栽が終わった後5年を経過しても成林の見込みがないとき。

(4) 造林者又は費用負担者が当該契約に定められた植栽、保育又は伐採の方法に従わなかったとき。

(5) 造林者又は費用負担者が前条の規定に違反したとき。

(6) 造林者又は費用負担者がその分収林につき罪を犯したとき。

2 前項の規定により分収造林契約を解除した場合には、植栽を終わった樹木は、市の所有に属する。この場合、市は、造林者又は費用負担者が営林に投じた費用はこれを賠償しない。

3 市長は、国又は公共団体において分収林を公用、公共用又は公益事業の用に供する必要を生じたときは、分収造林契約を解除することができる。

4 市長は、第1項又は前項の規定により分収造林契約を解除しようとするときは、造林者又は費用負担者に対し、あらかじめ、理由を付して、その旨を通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。この場合において、意見の聴取に際しては、造林者若しくは費用負担者又はそれらの代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、証拠を提出することができる。

5 第3項の規定により分収造林契約を解除した場合においては、造林者又は費用負担者は、これによって生じた損失につき市に対し、その補償を求めることができる。

第4章 市行造林

(造林地の対象)

第23条 分収造林又は分収育林(以下「分収造林等」という。)の対象地は、市の区域(造林地の一部が隣接市町の区域に存する場合も含む。)内にある私有林で、別に定める基準に適合するものでなければならない。

(分収造林等契約の締結)

第24条 市長は、森林所有者と契約により造林等事業を施行し、その収益を市及び森林所有者が分収するものとすることができる。

2 分収割合については、市長が定めるものとする。

(分収造林等契約の内容)

第25条 分収造林等の契約(以下「分収造林等契約」という。)については、第14条の規定を準用する。

(収益の分収)

第26条 第15条第1項から第4項までの規定は、分収林等の収益の分収にこれを準用する。この場合において収益の確定及び配分は、市長が行うものとする。

(残存木等の帰属)

第27条 第16条の規定は、分収林等の残存木等の帰属について準用する。この場合において同条中市の所有とあるのは「森林所有者」と読み替えるものとする。

(分収造林等契約の存続期間)

第28条 分収造林等契約の存続期間は、50年間とする。

2 市長は、特に必要があると認めるときは、前項の存続期間を更新することができる。

(地上権の設定)

第29条 第24条の規定により分収造林等契約を締結した場合は、当該契約地に地上権を設定するものとする。

2 地上権の存続期間は、分収造林等契約の存続期間とする。

(造林地の処分)

第30条 分収造林等契約を締結した者(以下「契約者」という。)は、造林地を処分しようとするときは、あらかじめ次の事項を記載した書面を提出して市長の同意を得なければならない。

(1) 処分しようとする土地

(2) 処分の目的

(3) 処分の相手方

(4) 処分の相手方が契約者の権利義務を継承する旨の契約

2 契約者は、前項の規定により処分が終わったときは、その旨を市長に届け出るものとする。

(相続があった場合の処置)

第31条 契約者の側に相続が行われ、2人以上の者が共同相続人となった場合は、共同相続人は、この契約に関する権利義務の行使に関し、共同相続人を代表する者を選定し、市長に通知するものとする。

(造林地の使用)

第32条 市長は、国又は公共団体において造林地を公用、公共用若しくは公益事業の用に供する必要を生じたときは、造林地の経営に支障がないと認められるときは、造林地の一部を貸付け若しくは使用させることができるものとする。

(契約の解除)

第33条 市長は、次のいずれかに該当する場合には、分収造林等契約を解除することができる。

(1) 造林地を公用、公共用又は公益事業の用に供する必要が生じたとき。

(2) 災害その他不可抗力により契約の目的を達成することができないとき。

(3) 契約者が、自ら造林地を管理する意志をもってこの契約の解除を申し出たとき。

(4) 契約者が、この契約の条項に違反したため、この契約の目的を達成することができなくなったと認めるとき。

2 前項第1号及び第2号の規定により契約を解除したときは、第26条の規定により収益を分収する。

3 第1項第3号及び第4号の規定によりこの契約を解除したときは、契約者は市長の指示に従って造林木について市の分収金額に相当する金額を納付しなければならない。ただし、納付すべき金額が市行造林に要した経費とこれに対する複利計算による利息に相当する金額との合計額に達しないときは、その合計額を納付しなければならない。

(契約締結日前の原因による異議の申立て)

第34条 市又は契約者以外の者が、この契約締結日前の原因により造林地に係る異議の申立て若しくは権利の主張をする場合においては、契約者において全てその責めに任ずるものとする。

(契約者の住所及び身分の変動等)

第35条 契約者又は承継人若しくは代理人は、次に掲げる事由が生じた場合は、遅滞なく市長にその旨を通知しなければならない。

(1) 住所又は氏名に変更が生じたとき。

(2) 死亡又は行為能力その他身分上の変動があったとき。

2 前項の手続を怠ったことにより生じた損害については、契約者の負担とする。

第5章 分収金

(分収金対象森林)

第36条 分収金対象森林とは、第3条に規定する行政財産のうち、昭和29年10月1日以前に植栽した人工造林をいう。ただし、平成17年2月12日における豊田町(以下「旧豊田町」という。)の区域の森林については、昭和50年4月1日以前に植栽した人工造林を含むものとする。

(分収金管理委員会)

第37条 分収金の管理運用のため、旧豊田町の区域及び平成17年2月12日における豊北町(以下「旧豊北町」という。)の区域に、それぞれ分収金管理委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 前項の委員会は、次の各号に掲げる人数の委員をもって組織し、委員は、当該各号に掲げる区域に住所を有する者の中から市長が任命する。

(1) 旧豊田町の区域に置く委員会 12人

(2) 旧豊北町の区域に置く委員会 6人

3 委員の任期は、4年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(委員長)

第38条 委員会に委員長1人を置く。

2 委員長は、委員会を代表する。

3 委員長は、委員の中から互選する。

4 委員長に事故があるときは、委員の互選により仮委員長を選任する。

(分収金の交付)

第39条 分収金対象森林の立木売払収入(官行、県行、公団、公社造林地の分収金を含む。)の100分の20に相当する額を分収金としてその地区の委員会に交付する。ただし、昭和29年10月1日以後人工造林又は天然更新した市有林野及び買収交換等により取得した市有林野については、交付しないものとし、譲渡(交換によるものを含む。)又は貸し付けた土地等に有する立木等については、譲渡し、又は貸付けるため評価した立木等の価格の100分の20に相当する額をその地区の委員会に交付する。

2 前項の規定は、昭和29年10月1日から起算して80年以内に生じた最初の収入金(前項ただし書の評価額を含む。)について適用するものとする。ただし、立竹、松たけ等については、本文の期間内において収入金の生じた都度適用する。

(分収金の管理及び使途)

第40条 前条の分収金は当該委員会が管理し、市長の承認を得てその地区内の市有林野の管理に要する経費又は公共事業及び産業奨励並びに公共団体の助成に要する経費に使用することができる。

第6章 雑則

(委任)

第41条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前に、豊田町有林野条例(昭和50年豊田町条例第31号)又は豊浦町有林野条例(昭和31年豊浦町条例第12号)(以下これらを「合併前の条例」という。)の規定に基づきなされた貸付け、使用、分収又は採収に関する契約の取扱いについては、なお合併前の条例の例による。

(平成17年6月29日条例第345号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成20年3月28日条例第19号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成24年3月27日条例第16号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成28年3月24日条例第24号)

この条例は、公布の日から施行する。

下関市有林野条例

平成17年2月13日 条例第257号

(平成28年3月24日施行)

体系情報
第13編 済/第6章 農林整備
沿革情報
平成17年2月13日 条例第257号
平成17年6月29日 条例第345号
平成20年3月28日 条例第19号
平成24年3月27日 条例第16号
平成28年3月24日 条例第24号