○下関市再燃火災防止対策要綱

平成17年2月13日

消防局訓令第29号

(趣旨)

第1条 この要綱は、火災現場における再燃を未然に防止するため、鎮火後における活動について必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要綱における用語の意義は、次のとおりとする。

(1) 再燃 消防隊が現場活動を行い、引き揚げた後、残り火により、再び消火の必要がある燃焼現象をいう。

(2) 有炎現象 炎を形成して燃焼する現象をいう。

(3) 残火処理 鎮火後の残り火を点検し、処理することをいう。

(4) 現場保全区域 火災原因調査等の必要上、保全すべき区域をいう。

(5) 監視 火災現場において再燃のおそれ又は倒壊等がないかを確認する目的で行う活動をいう。

(6) 警戒 消防隊が火災現場から帰署したのち、再燃を未然に防止するため再び現場に出向して行う監視活動をいう。

(7) 関係者等 次の範囲のものをいう。

 火元消防対象物の所有者、管理者又は占有者

 類焼した消防対象物の所有者、管理者又は占有者

 火災により損害を受けた消防対象物の所有者、管理者又は占有者

 からまでに掲げる関係者に係る勤務者又は親族の者

(残火処理活動)

第3条 消防隊が行う残火処理活動は、別表に基づき適切に行うものとする。

(残火処理活動上の留意事項)

第4条 残火処理活動に当たっては、主として次の事項に留意して実施するものとする。

(1) 上級指揮者は、残火処理活動を効率的に行うため、あらかじめ各消防隊に担当区域を指定し、次の点を重視するものとする。

 木造建物の焼け止まり付近

 防火建物の二重壁内

 耐火建物(準耐火建物を含む。)の直上階等の延焼危険箇所

(2) 消防隊到着時において、既に鎮火し、消火活動の必要がない場合においても前号アからまでに準じて指定するものとする。

(3) 破壊活動

 破壊活動は、原則として、上級指揮者の命令により行うものとする。

 破壊箇所は、作業が容易で、かつ、最大の効果が発揮できる部分とする。

 破壊範囲は、必要最小限度に止めるものとする。

(4) 注水活動

 注水活動は、建物の構造、用途及び燃焼物等から判断し、最も適した注水方法を採用するものとする。

 注水に際しては、水損防止等を考慮し、必要に応じた資機材を活用するものとする。

(5) 可燃物又は焼損した残存物の搬出

 再燃のおそれがある物品(布団、マット、繊維類、紙、木材等)は、必要に応じ、屋外等の安全な場所へ搬出して処理するものとする。

 倉庫、木材置場等、多量に可燃物を集積し、又は山積みしている焼損した残存物等の搬出は、関係者等と協議し、車両や作業要員を確保させるなど、効率的な残火処理に努めるものとする。

(6) 火災原因調査等の証拠保全

残火処理活動に当たっては、特に、火災原因調査等で必要と認める範囲又は部分について保存及び証拠の保全に努めるものとする。

(7) 安全管理

残火処理の過程においては、安全管理に努めるほか、特に次の点に注意するものとする。

 瓦等屋根材の落下

 壁体、集合煙突などの倒壊

 柱等の倒壊及び床の踏み抜け

 化学物質、ガス等の爆発

(残火処理活動時の指揮体制)

第5条 残火処理活動時の指揮体制は、次によるものとする。

(1) 残火処理活動の指揮は、上級指揮者が行うものとする。

(2) 上級指揮者は、火災の規模、建物の構造、収容物等、現場全般の状況を的確に把握し、必要な消防力を速やかに決定して残火処理に当たらせるものとする。

(説示書による通知)

第6条 上級指揮者は、鎮火を決定したときは、必要により関係者等に対し、説示書(様式第1号)によって通知するものとする。

(1) 説示書によって通知しても特に再燃のおそれのあると思われる箇所等については、具体的に口頭説明する。

(2) 説示書の発信者は、当該火災現場を管轄する消防署長(以下「署長」という。)とする。

(3) 説示書の控えには、交付した日時等、所要の事項を記載する。

2 上級指揮者は、関係者等が不在等のため、前項に基づく説示書を通知できない場合には、当該説示書の余白にその旨記載し、保存するものとする。

(監視又は警戒)

第7条 上級指揮者は、次に該当する場合には、消防隊に監視又は警戒を行わせ、必要により残火処理チェックカード(様式第2号)に基づき点検するものとする。

(1) 火災警報、乾燥注意報、強風波浪注意報等が発令又は発表中

(2) 建物火災のうち、その構造が木造又は防火造りの場合で、小屋裏、天井、壁体内、床面等の未燃焼部分に焼け止まりがある場合

(3) 燃焼物品(指定可燃物等その他再燃のおそれのある物品)が多量にある場合

(4) 火災原因等の調査のため、消防警戒区域を設定し、火災現場の保全を行う必要がある場合

(5) 説示書の通知ができない場合(関係者等不在)

(6) 前各号のほか、上級指揮者が必要と認めた場合

2 署長は、火元、類焼した消防対象物の関係者等が不在の場合、現場保存に当たる警察官又は地区役員その他住民に対し、当該消防対象物について監視、警戒等の協力を求めておくか、又は消防団員に対し応急措置について指示するものとする。

3 署長は、再燃防止のため必要と認めたときは、消防隊を適宜出向させ警戒するものとする。

4 前3項のいずれかにより、火災現場の監視又は警戒を行ったときは、監視、警戒点検結果を記録しておくものとする。

この訓令は、平成17年2月13日から施行する。

別表(第3条関係)

残火処理活動基準

構造別

特に残り火が生じやすい場所等

点検要領

搬出・破壊要領

木造

屋根・小屋裏・天井裏・床下等

点検口(押入の天井部分等)から内部を視認する。

① かや、わらぶき屋根及び小屋裏に収容してあるわら等は、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。

② 小屋裏、天井裏及び床下の点検には、天井、床等を一部破壊する。

家具類(タンス)戸棚の裏側等

移動させて火気及び煙の有無を確かめ、更に内部の収容物を視認する。

① 収容物のうち、衣類、書籍等で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。

② 家具類、戸棚等を移動し、必要に応じ破壊器具等により局部破壊する。

押入、戸袋等

① 収容物を引き出し、内部を確認して、火気及び煙の有無を確かめる。

② 小屋裏への燃え抜け状況を確かめる。

① 収容物等で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な措置を講ずる。

② 小屋裏の点検は、天井、壁等を一部破壊する。

厨房等の火気使用施設周囲の鉄板張り内装裏面及び煙突の貫通部分

変色部分等の表面を素手で触れて温度を確かめる。

変色部分等の表面温度の高い部分及び煙突の貫通部分を破壊器具等により局部破壊する。

かわら下地、畳の合わせ目等

① 焼け止まり箇所等を視認する。

② 畳で焼損の深いものは、床板まで燃え抜けているか確認する。

① 畳で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。

② 屋根の点検は、瓦及びその下地等を一部破壊する。

柱梁合掌等のほぞ部分等

① 視認及び表面を素手で触れて温度を確認する。

② 通し柱等に焼損がある場合は、小屋裏、天井裏まで確認する。

必要に応じ、けん引ロープ等により柱、はり等を転倒、落下させる。

焼損堆積物等

堆積物内部の火気を確認する。

① 可能な限りとび口等で掘り起こし、又は堀崩しを行う。

② 農薬、肥料、その他化学物質等で、注水、加熱等により発熱の危険性があるものは、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。

布団、マット、繊維類、紙、木材、木くず類、わら類等

深部に残った火気を素手で触れるなどして確認する。

① 消火器等で消火したもの又は変色しているものなど、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。

② 布団、繊維類等深部に火気が残りやすいものについては、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。

強い放射熱を受けた部分、風下消防対象物の飛び火危険個所等

変色又は強い放射熱を受けたと予測される部分を素手で触れて温度を確かめる。

変色又は受熱温度等から必要に応じ破壊器具等で一部を破壊する。

防火造

モルタル壁等の二重壁内等

変色又は強い放射熱を受けたと予測される部分を素手で触れて温度を確かめる。

必要に応じ破壊器具等により二重壁の一部を破壊する。

その他

木造及び耐火造に準ずる。

耐火造・準耐火造含む

ダクト、パイプスペース等の縦穴部分等

① 点検口等から内部を視認する。

② 直上階等への縦穴部分等で埋め戻しの有無を点検する。

③ 可燃物と接している部分を点検する。

① 押入等の収容物を引き出し縦穴等の有無を確認する。

② ダクト等の一部を破壊する。

ダクト、パイプ等の壁体並びに床貫通部分の仕舞材及び埋戻し箇所等

① 点検口等から視認する。

② 変色部分等の表面を素手で触れ温度を確かめる。

ダクト、天井側壁等の一部を破壊器具等により破壊する。

その他

木造及び耐火造に準ずる。

 

備考

1 消防隊が前記について点検する場合は関係者等の立会いのもとに実施するよう配意する。

2 鎮火判定のため破壊によらなければ確認できない部分は、関係者の承諾を得て必要最小限度の範囲で実施する。

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下関市再燃火災防止対策要綱

平成17年2月13日 消防局訓令第29号

(平成17年2月13日施行)