○下関市火災調査規程
平成17年2月13日
消防局訓令第34号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定による火災の調査について必要な事項を定めるものとする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(3) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
(4) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
(5) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(8) 爆発現象 化学的変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(9) 発火源 出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。
(10) 経過 出火に関係した現象、状態又は行為をいう。
(11) 着火物 発火源により最初に着火したものをいう。
(12) 出火箇所 火災の発生した箇所をいう。
(13) 断定 各資料の証明力を総合することにより、全く疑う余地がなく、極めて具体的かつ科学的にその原因が決定されるものをいう。
(14) 判定 原因を断定することはできないが、各資料を基礎として多少の推理を加えることにより、合理的にその原因を判断できるものをいう。
(15) 推定 各資料の証明力のみによっては、その原因を直接判断することはできないが、各資料を基礎として推理すれば、合理的にその原因が推測できるものをいう。
(16) 不明 原因を決定する資料が全くないとき、又は若干の資料があっても、それらの資料の証明力が極めて少なく、多少の推理を加えてもその原因が合理的に判断できないものをいう。
(17) 火災調査技術員 火災原因調査に際して専門的な技術を有し所属長から推薦された職員(以下「技術員」という。)をいう。
(調査の責任、着手)
第3条 消防署長(以下「署長」という。)は、管轄内(通行中の車両、航行中の船舶の火災にあっては火災防御をした場所、航空機の火災にあっては墜落場所、火災発生場所をいう。)の火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 署長は、消防司令の階級にある者を調査主任者に命じるものとする。ただし、消防司令の階級にある者が不在の場合は、消防司令補を調査主任者に命じることができるものとする。
4 調査主任者は、調査上必要があるときは他署隊等の職員が見分した状況を聴取し、聞知書として作成することができる。
5 署長は、大規模な火災又は特殊な出火原因による火災で調査が困難と認める場合は、消防長に調査を要請することができる。
6 消防長は、前項の要請に必要があると認めたとき又は調査上必要があると認めたときは技術員又は主管課職員を派遣することができるものとする。
(現場保存)
第4条 消防職員は、火災の現場を保存するよう努めなければならない。
2 消防職員は、やむを得ない事由により現場を変更する必要があると認める場合は、調査主任者の指示に従い、写真、見取図、記録その他の方法により現状を保存したのち変更するものとする。
(調査員の心得)
第5条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 関係者の民事的紛争に関与しないこと。また、個人の自由及び権利を不当に侵害しないこと。
(3) 調査上知り得た秘密を漏らさないこと。
(4) 関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(5) 警察機関その他の関係機関とは密接な連絡を取り、相互に協力して調査を進めること。
(火災出場時の見分)
第6条 火災に出場した調査員は、火災出場時の状況の見分に努めなければならない。
(実況見分)
第7条 調査員は、火災現場その他関係のある場所及び物件について詳細に見分(以下「実況見分」という。)を行い、そのてん末を明らかにしなければならない。
2 実況見分は、原則として関係者の立会いを得て実施するものとする。
3 18歳に満たない少年、心身障害者、知的障害者等(以下「少年等」という。)を実況見分の立会い者にしてはならない。ただし、保護者又はこれに代わる者(以下「保護者等」という。)の立会いを得て行う場合及び実況見分のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。
(質問)
第8条 調査員は、法第32条第1項又は法第35条の2第1項の規定により関係のある者等に対し質問を行うときは、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 質問を行うときは、申述の強制及び誘導を避け、その場所及び時期等を考慮し、任意の申述を得ること。
(2) 少年等に対する質問は、調査のため特に必要があると認める場合を除き、保護者等の立会いを得て行うこと。
(3) 被質問者に対し、申述内容を記述した調査書(以下「質問調査書」という。)に誤りがないことを確認し、その方法を記載すること。
(4) 保護者等の立会又は通訳人の介助を得て質問を行ったときは、保護者等の立会又は通訳人の介助を得て、質問調査書に誤りがないことを確認すること。
(5) 被質問者が質問調査書について、追加、削除又は訂正等の変更を申し述べたときは、その旨を記載すること。
2 質問調査書の作成に必要な場合は、被質問者に図面の作成を求めることができる。
(氏名等の公表禁止)
第9条 少年等による失火又は放火に起因する火災について、報道機関等に発表する場合は、氏名、年齢、住所等本人を推知できる情報は公表しないものとする。
(資料の提出及び報告)
第10条 署長は、火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し又は輸入した者に資料の提出又は報告を求める場合は、原則として任意によるものとし、これによりがたいときは、法第32条第1項の規定により資料の提出を命じ、又は報告を求めるものとする。
2 署長は、関係者に資料の提出又は報告を求める場合は、原則として任意によるものとし、これによりがたいときは、法第34条第1項の規定により資料の提出を命じ、又は報告を求めるものとする。
3 前2項の規定により資料の提出を求めたときは、所有権放棄の有無を確認するものとし、所有権を放棄しない者については、調査終了後速やかに返還するものとする。
(官公署への照会)
第10条の2 署長は、調査のため必要があると認めるときは、法第32条第2項の規定により関係のある官公署へ照会を行い、通報を求めるものとする。
(立証のための調査)
第11条 署長は、火災に関係のある物件の詳細な見分が困難なとき又は実験等を必要と認めるときは、立証のための鑑識、鑑定又は実験等(以下「鑑識等」という。)を行うものとする。
2 署長は、火災に関係のある物件の鑑識等の依頼が必要と認めるときは、その旨を消防長に報告しなければならない。
3 消防長は、前項の報告があったとき、又は火災原因調査のため特に必要があると認めるときは、官公署又は学識経験者等に鑑識等を依頼するものとする。
(原因の判定)
第12条 調査主任者は、火災原因を調査し判定を行うに当たっては、この規程に定める火災出場時における見分、実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとし、物的調査、人的調査による資料により裏付けるものとする。
2 前項の火災原因調査報告書に添付する火災原因調査書類(以下「書類」という。)は、火災の規模又は出火原因の状況により簡略な書類(以下「簡略式」という。)とすることができる。なお、調査主任者は、火災原因調査に着手した日から起算して20日以内に署長に報告しなければならない。
3 前項の書類は、火災の規模又は出火原因の状況により、他の資料を添付し、又は一部を省略することができる。
(火災原因調査報告書の併合)
第14条 複数の火災が発生して相互に関連があった場合において、一括して処理することが適当と認められるときは、複数の火災原因調査報告書を併せて作成することができる。
(書類等の作成)
第15条 書類の余白又は空白には「以下余白」と記載する。ただし、質問調査書にあってはこの限りでない。
2 書類に用いる用紙の大きさは、日本産業規格A4とする。ただし、図面等A4で処理することが不可能な場合は、この限りでない。
(損害の届出)
第16条 署長は、火災により罹災した物件の所有者、管理者、占有者又はその他の関係者から、損害届を提出させるものとする。
(火災損害の調査)
第17条 調査主任者は、火災及び消火のために受けた損害の調査を行うに当たっては、罹災の状況を総合的に検討し、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号、消防庁長官通知)により行わなければならない。
2 火災により死者が発生したときは、別に定める様式により死者の調査を行い、次条に定める火災損害調査報告書に添付するものとする。
(照会等回答)
第18条の2 消防長又は署長は、次の機関等から火災調査結果の内容について照会及び開示請求があった場合は、別に定めるところにより回答するものとする。
(1) 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第186条に基づく調査嘱託及び同法第226条に基づく文書送付嘱託並びに刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第279条に基づく公務所に対する裁判所からの照会
(2) 刑事訴訟法第197条第2項に基づく検察官、司法警察職員等からの照会
(3) 弁護士法(昭和24年法律第205号)第23条の2に基づく弁護士会からの照会
(4) 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第49条に基づく労働基準監督署からの照会
(5) 前各号以外から下関市情報公開条例(平成17年条例第16号)及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づく開示請求
第19条 爆発等(第2条第1号で定める爆発現象を除く。)の災害による調査は、この規程を準用する。
(その他)
第20条 この規程の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この訓令は、平成17年2月13日から施行する。
附則(平成19年3月12日消防局訓令第2号)
この訓令は、平成19年3月12日から施行する。
附則(平成21年3月27日消防局訓令第2号)
この訓令は、平成21年3月27日から施行する。
附則(平成23年12月12日消防局訓令第2号)
この訓令は、平成24年1月1日から施行する。
附則(平成25年3月14日消防局訓令第1号)
この訓令は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成27年3月11日消防局訓令第6号)
この訓令は、平成27年4月1日から施行する。
附則(平成28年2月26日消防局訓令第3号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附則(平成30年12月20日消防局訓令第6号)
この訓令は、平成31年1月1日から施行する。
附則(令和元年6月28日消防局訓令第4号)
この訓令は、令和元年7月1日から施行する。
附則(令和3年2月1日消防局訓令第4号)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(令和5年3月24日消防局訓令第7号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。ただし、令和5年3月31日以前に発生した火災の調査については、なお従前の例による。
附則(令和5年4月17日消防局訓令第2号)
この訓令は、令和5年4月17日から施行する。
附則(令和5年7月25日消防局訓令第4号)
この訓令は、令和5年8月1日から施行する。ただし、令和5年7月31日以前に発生した火災の調査については、なお従前の例による。
別表第1(第3条関係)
調査種別 | 階級等 |
火災原因判定 | 消防司令 |
火災出場時における見分 | 最先着隊の指揮者 |
実況見分 | 消防司令補以上 |
質問 | 消防士長以上 |
その他 | 消防司令補以上 |
別表第2(第13条関係)
別表第3(第18条関係)
書類 | |
火災損害調査報告書(建物火災) | |
火災損害調査書 | |
火災損害調査報告書(建物火災以外) | |
火災損害調査書 | |
負傷者調査書 | |
建物等損害調査書 | |
損害額算出明細書(木造・耐火建物) | |
〈経過年数及び建築時単価が判明している場合〉 | |
損害額算出明細書(木造建物) | |
〈建築時単価が不明の場合〉 | |
損害額算出明細書(木造建物) | |
〈経過年数及び建築時単価が不明の場合〉 | |
物件等(建物を除く。)損害調査書 | |
損害額算出明細書(建物を除いた資産) | |
損害届(建物火災) | |
罹災物件明細書 | |
損害届(建物火災以外) |