○下関市議会基本条例
平成24年3月7日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則等(第2条―第4条)
第3章 市民と議会の関係(第5条―第7条)
第4章 市長と議会の関係(第8条―第11条)
第5章 議会運営(第12条・第13条)
第6章 政務活動費(第14条)
第7章 議会及び議会事務局の体制強化(第15条―第18条)
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第19条・第20条)
第9章 最高規範性と見直し手続(第21条・第22条)
附則
平成12年、いわゆる地方分権一括法の施行により、本格的な地方分権に向けたスタートが切られ、地方自治体を取り巻く環境は大きく変化し始め、自己決定と自己責任の原則がより一層拡大した。
これにより、議員の合議体である議会は、市長と同じく市民の直接選挙で選ばれた二元代表制の一方を担う存在として、その果たすべき役割と責務が益々増大してきており、その内容を明確にすることが求められている。
こうした中で、下関市議会は、今まで取り組んできた議会改革を基礎として、議会としてのあるべき姿を再構築する必要性を強く感じたところである。下関市議会の進むべき道筋は、市民に開かれた議会、市民参加を推進する議会を目指し、自らの創意工夫により政策立案及び政策提言を行い、更なる議会改革を継続し、市長との緊張関係を保持しながら、真の地方自治の実現に邁進していくことである。
ここに本市議会を構成する議員がその果たすべき役割と責務の重さを深く自覚し、市民の負託に応えていく証しとして、下関市議会基本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、市政の情報公開と市民参加を原則とした下関市議会(以下「議会」という。)及び下関市議会議員(以下「議員」という。)に関する基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく市民の負託に応え、もって安心で安全な街づくりをはじめ、市民福祉の向上と公正で民主的な市政の運営に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則等
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 市の団体意思の決定機関として、公正性及び透明性を確保し、信頼性を重んじた議会活動を行うこと。
(2) 市民の立場から、適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。
(3) 提出された議案の審議又は審査を行うほか、独自の政策の立案及び提言を行うこと。
(4) 議決責任を深く認識した上で、議案等を議決し、もって市としての意思決定又は政策決定をしたときは、市民に対して分かりやすい言葉を用いて説明すること。
(5) 市民の意見を的確に把握し、市民参加の機会の拡充に努め、市政及び議会活動に反映させること。
(災害時における議会の対応)
第2条の2 議会は、災害時においても、議会機能を的確に維持しなければならない。
2 議会は、市内で大規模災害が発生した場合の議会及び議員の対応について、下関市議会業務継続計画(BCP)を定めるものとする。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを十分認識し、議員相互間での自由な討議を積極的に行うこと。
(2) 市政の課題全般について市民の意見を的確に把握し、これを政策形成に反映できるよう、自己の能力を高めるため不断の研さんを行うこと。
(3) 議会の構成員として、一部の団体及び地域に偏ることなく、安心で安全な街づくりをはじめ、市民全体の福祉の向上を目指すこと。
(会派)
第4条 議員は、円滑に議会活動を行うため、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で会派を結成することができる。
2 議長は、必要があると認めるときは、会派の代表者による会議を開催する。
3 会派の代表者による会議に関し必要な事項は、別に定める。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第5条 議会は、市民に対し議会の活動に関する情報を積極的に公表し透明性を高めるとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、市民に開かれた議会運営に資するため、常任委員会、特別委員会及び議会運営委員会(以下「委員会」という。)を原則として公開するとともに、その他の会議についても公開に努めなければならない。
3 議会は、参考人制度及び公聴会制度を活用して、市民の専門的、政策的な識見等を議会の審議等に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに、その審査又は調査においては、請願及び陳情を行ったものの意見を聴く機会を設けるよう努めるものとする。
(市民と議会のつどい)
第6条 議会は、市政の諸課題に柔軟に対処するため、市政全般にわたって、議員及び市民が情報及び意見を交換できる市民と議会のつどいを年1回以上行うものとする。
2 市民と議会のつどいに関し必要な事項は、別に定める。
(議会広報の充実)
第7条 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、積極的に情報提供を行い、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めなければならない。
2 前項の目的を達成するために、議員で構成する議会広報部会を設置する。
3 議会広報部会に関し必要な事項は、別に定める。
第4章 市長と議会の関係
(緊張関係の保持)
第8条 議会審議における議員と下関市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)及びその職員は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。
(1) 議会の代表質問及び一般質問は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、代表質問の初回質問を除き一問一答の方式とする。
(2) 議長から本会議又は委員会の出席を要請された市長等及びその職員は、議長又は委員長の許可を得て議員の質問に対して、その論点を整理するため質問することができる。
(3) 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して市長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において、市長等に文書により適切な時期までに回答するよう求めることができるものとする。
(議会審議における論点情報の形成)
第9条 議会は、市長等が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長等に対し、必要に応じ、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 提案に至るまでの経緯
(2) 市民参加の実施の有無とその内容
(3) 総合計画との整合性
(4) 財源措置及び将来にわたるコスト計算
(5) 政策に期待される効果
(予算及び決算における政策説明資料の作成)
第10条 議会は、市長が予算及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、施策別又は事業別の分かりやすい政策説明資料を求めるものとする。
(議決事件の拡大)
第11条 議会は、自らの団体意思決定機能と監視機能を向上させ、また、市の重要な計画や政策について市民に開かれた議論を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件を積極的に拡大するものとする。
2 議会の議決すべき事件に関し必要な事項は、別に条例で定める。
第5章 議会運営
(委員会の活動)
第12条 委員会は、その所管する事務について積極的な調査研究を行い、議案審査に資するとともに、政策提言を行うものとする。
2 委員会は、年度当初にその年度の活動方針や視察内容について十分な検討を行わなければならない。
3 委員会は、審査又は調査の内容が他の委員会の所管と密接に関連する場合は、連合審査会を開くことができるものとする。
4 委員会は、必要に応じて、議事堂以外の場所で開催することができるものとする。
5 委員長は、民主的かつ公正な委員会運営を行うものとする。
6 委員長は、委員会審査報告を行うときは、その内容が市民に対して分かりやすい報告となるよう努めなければならない。
(議員相互間の自由討議等)
第13条 議員は、議会が言論の場であることを十分に認識し、議員相互間での自由な討議を中心とした運営に努めるものとする。
2 議員は、議案等に対して最善の判断ができるよう議員相互間での徹底した議論を尽くすものとする。
第6章 政務活動費
(政務活動費)
第14条 政務活動費の執行に当たっては、下関市議会政務活動費の交付に関する条例(平成25年条例第4号)の規定を遵守するとともに、その透明性を確保しなければならない。
2 政務活動費の交付を受けた者は、政務活動費の収支報告書について、自ら説明責任を果たさなければならない。
第7章 議会及び議会事務局の体制強化
(予算の確保)
第15条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を充実するため、必要な予算及び体制の確保に努めるものとする。
(議員研修の充実強化)
第16条 議会は、議員の研さんのため、広く各分野の専門家との議員研修会を年1回以上開催するよう努めなければならない。
2 議会及び議員は、市政の課題を幅広い視点から捉えるため、他の地方自治体の事例等を調査研究するよう努めなければならない。
(議会事務局の体制整備及び強化)
第17条 議会事務局は、議員の議会活動に必要とされる行政情報の収集及び提供に努めるものとする。
2 議長は、議会事務局の法務・調査・情報システム機能等の充実強化を図るよう努めるものとする。
(議会図書室)
第18条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。
2 議会図書室は、議員のみならず、誰もがこれを利用できるものとする。
3 議会図書室に関し必要な事項は、別に定める。
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第19条 議員は、市民の代表者として名誉と品位を損なう行為を慎み、また、その地位を利用して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないなど、議員としての責務を正しく認識し、議会の一員として、その使命の達成に努めなければならない。
2 議員の政治倫理に関し必要な事項は、別に条例で定める。
(議員定数及び議員報酬等)
第20条 議会は、議員定数及び議員報酬等の見直しに当たっては、行財政改革の視点及び他の地方自治体との比較だけではなく、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、広く市民の意見を聴取し、市民の理解を得られるよう努めなければならない。
第9章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第21条 この条例は、議会における最高規範であって、議会に関する他の条例等を制定又は改廃するときは、この条例の趣旨に反してはならない。
2 議会は、この条例の理念を議員間で共有するため、議員の一般選挙後速やかに、この条例に関する研修を行わなければならない。
(見直し手続)
第22条 議会は、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案して、議会運営に係る不断の評価と改善を行い、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講じなければならない。
2 議会は、議員の一般選挙後速やかに、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討し、必要があると認めるときは、適切な措置を講じなければならない。
附則
この条例は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成25年3月1日条例第2号)
この条例は、平成25年3月1日から施行する。
附則(平成30年12月19日条例第80号)
この条例は、公布の日から施行する。