○下関市犯罪被害者等支援条例

令和6年12月20日

条例第70号

(目的)

第1条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)に基づき、犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、並びに市、市民等、事業者及び学校等の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援に関する基本的な事項を定めることにより、犯罪被害者等の支援に関する施策を総合的に推進し、もって犯罪被害者等の権利利益の保護並びに被害の軽減及び回復を図るとともに、市民が安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

(2) 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。

(3) 二次的被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の者の配慮に欠ける言動、誹謗ひぼう中傷、報道機関(報道を業として行う個人を含む。)による過度な取材及び報道等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、心身の不調、名誉の毀損、私生活の平穏の侵害、経済的な損失その他の被害をいう。

(4) 再被害 犯罪被害者等が、その被害を受けた犯罪等の加害者から再び受ける犯罪等による被害をいう。

(5) 市民等 市内に居住し、勤務し、若しくは在学する者又は市内で活動を行う団体をいう。

(6) 事業者 市内において事業を営む個人又は法人その他の団体をいう。

(7) 学校等 市内に存する学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設その他これらに類するものをいう。

(8) 関係機関等 国、山口県その他の地方公共団体、警察、犯罪被害者等の支援を行う公共的団体その他の犯罪被害者等の支援に関係するものをいう。

(基本理念)

第3条 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等が個人の尊厳を重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することを旨として、推進されなければならない。

2 犯罪被害者等の支援は、犯罪等による直接的な被害、二次的被害又は再被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われるとともに、当該支援により二次的被害及び再被害が生じることがないよう十分配慮して推進されなければならない。

3 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等が被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援が途切れることなく提供されるよう行われなければならない。

4 犯罪被害者等の支援は、市、市民等、事業者、学校等及び関係機関等が相互に連携し、及び協力して推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、犯罪被害者等の支援に関し、市民等、事業者、学校等及び関係機関等との適切な役割分担を踏まえて、市の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、犯罪被害者等の支援に関する施策が円滑に実施されるよう、犯罪被害者等の総合的な支援体制の整備に努めるものとする。

(市民等の責務)

第5条 市民等は、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性についての理解を深め、二次的被害及び再被害が生じないように配慮するよう努めるものとする。

2 市民等は、市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性についての理解を深め、犯罪被害者等の労働環境の整備その他の必要な措置を講ずるとともに、その事業活動を行うに当たって、二次的被害及び再被害が生じないように配慮するよう努めるものとする。

2 事業者は、市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(学校等の責務)

第7条 学校等は、その在学者等である犯罪被害者等の置かれている状況を踏まえ、家庭及び関係機関等と連携し、及び協力して、当該犯罪被害者等の適切な支援を行うとともに、二次的被害及び再被害の防止並びに在学者等の受ける影響について配慮するよう努めるものとする。

2 学校等は、市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(相談及び情報の提供等)

第8条 市は、犯罪被害者等が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している様々な問題について相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の必要な支援を行うとともに、関係機関等との連絡調整を行うものとする。

2 市は、前項に規定する支援を総合的に行うための窓口を設置するものとする。

(経済的負担の軽減)

第9条 市は、犯罪被害者等が犯罪等により受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対し、経済的な助成その他の必要な支援を行うものとする。

(心身に受けた影響からの回復)

第10条 市は、関係機関等と連携し、犯罪被害者等が犯罪等により受けた心理的外傷その他の心身に受けた影響から早期に回復し、日常生活を円滑に営むことができるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な支援を行うものとする。

(安全の確保)

第11条 市は、関係機関等と連携し、犯罪被害者等が二次的被害及び再被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保その他の必要な支援を行うものとする。

(居住の安定)

第12条 市は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、市営住宅(下関市営住宅の設置等に関する条例(平成17年条例第272号)第2条第4号に規定する市営住宅をいう。)への入居における配慮その他の必要な支援を行うものとする。

(雇用の安定)

第13条 市は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るとともに、職場における二次的被害及び再被害を防止するため、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援について事業者の理解を深めるための啓発活動その他の必要な施策を講ずるものとする。

(市民等の理解の増進)

第14条 市は、犯罪被害者等の置かれている状況、犯罪被害者等の支援の必要性並びに二次的被害及び再被害を防止することの重要性について、市民等の理解を深めるよう、関係機関等と連携し、広報、啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(民間の団体に対する支援)

第15条 市は、犯罪被害者等の支援に関する活動を行う民間の団体に対し、その活動の促進を図るため、犯罪被害者等の支援に関する情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。

(人材の育成)

第16条 市は、犯罪被害者等の支援の充実を図るため、犯罪被害者等の支援を行う人材を育成するための研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。

(大学等との連携)

第17条 市は、犯罪被害者等の支援に関する啓発、人材育成等について、大学その他これに相当する教育機関と連携して取り組むよう努めるものとする。

(支援の制限)

第18条 市は、犯罪被害者等の支援を行うことが社会通念上適切でないと認めるときは、支援を行わないことができる。

(委任)

第19条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

この条例は、令和7年4月1日から施行する。

下関市犯罪被害者等支援条例

令和6年12月20日 条例第70号

(令和7年4月1日施行)