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水とあなたのイイ関係♪

ちゃん(ここでは子宮内にいる赤ちゃんという意味で以後は胎児という表現にします)にとって、羊水は生きていくために欠かせないたいへん大切な水です。胎児は約260日余りを羊水に囲まれて生活し成長していきます。今回は羊水の起源と役割についてお話ししましょう。

1.羊水はどのようにしてできるのか
 妊娠の初期と妊娠中期〜後期では羊水の起源は大きく違います。妊娠の初期は、母体からの起源が主で、羊膜や絨毛膜(じゅうもうまく)を介して母体の血漿(けっしょう)成分が漏出してできます。妊娠11週には、早くも超音波検査で胎児の膀胱とその中の尿が確認できますが、尿量が少ないために妊娠初期の羊水の産生源としての胎児尿の関与はわずかしかありません。
 妊娠の中期(妊娠20週前後)以降では、胎児の尿は羊水の主な産生源となります。胎児の病気のなかでも腎形成不全や尿路閉塞では、著しい羊水過少症が起こることからも胎児の尿が羊水に占める割合が大きいことがわかります。胎児の尿量は妊娠20週では100ミリリットル/日ですが、妊娠40週には1,200ミリリットル/日以上にも達します。

2.羊水の役割
1、胎児の保護作用

(1)物理的および機械的刺激に対する保護作用
 羊水は子宮の収縮によって胎児にかかる圧力を均等に分散し、臍さい帯たいや胎盤への圧力を軽減させます。同時に、胎動が直接母体に伝わることを防ぎ、胎動による母体の痛みを緩和します。一方、羊水には外界や母体の温度変化からの緩衝作用があり胎児の体温を一定に保つ働きがあります。また、胎児の熱を羊水を通じて放出させる作用もあります。因みに、哺乳動物の胎たい仔しのエネルギー産生量は母体の約2倍もあります。

(2)感染防御作用
 羊水中にはリゾチームなどの抗菌作用をもつ物質が含まれており、羊水感染が起きるとこれらの物質が増加して働きます。また、破水した時には羊水が膣内に流れ出すことによって物理的化学的に膣から子宮内に向かう上向性の感染を予防しています。

(3)前期破水および早産の予防
 羊水中には胎児の腎で産生される尿中トリプシンインヒビターという物質が含まれ、子宮口が柔らかくなるのを抑制し、子宮の収縮を抑制します。

2、胎児発育にかかわる作用
 
 胎児が正常に発育するためには羊水の存在は欠かせません。仮に、羊水過少症がある場合には胎児の発育は遅延します。さらには、胎児の腎無形成でみられるポッター症候群のように、胎児の肺低形成・顔面や手足の変形・老人様皮膚などが起こります。胎児は子宮内で呼吸様運動(横隔膜の上下運動により胎児肺の肺胞液が肺胞と気管支の間を出入りすることによって胎児期の肺胞の成熟を図っている)を行い、生まれた直後の自発呼吸に備え肺成熟を進行させています。羊水がない場合にはこの運動ができず、子宮の外に出た場合に肺が正常に機能しないために多くの胎児は出生直後に死亡します。また、胎児が羊水を飲み込むことによって胎児消化管の発育も促進しています。

3、分娩時の作用

 お産の時には、羊水は子宮の収縮による圧力を胎児・臍帯に均等に伝えています。前期破水などで羊水が減少した状態では、臍帯の圧迫で生じる低酸素症による変動一過性徐脈が出現しやすく、羊水による物理的緩衝作用は重要です。子宮頸部(子宮口)に対しては、羊水の入った袋である胎胞を形成して子宮内圧の上昇を外へ逃がし、子宮頸管を開大させる作用があります。

4、羊水から得られる臨床情報
 
 羊水中には胎児の皮膚細胞のほかに、消化管・肺・腎からの分泌物が含まれており、羊水は胎児情報の宝庫です。羊水中の肺サーファクタントを測定し胎児の肺成熟度を測定する方法、羊水細胞の染色体分析、α―フェトプロテイン測定により胎児中枢神経系の異常を調べる方法などがあります。また、お産の時の母体死亡に至る大きな原因でもある羊水塞栓症の早期診断には、羊水中の亜鉛コプロポルフィリンを母体の血中から検出する方法などがあります。

 赤ちゃん(胎児)を守るため変化する母体に、命を育む不思議を感じました。母親の血漿成分から羊水ができるということは、血液の健康は最重要!おいしい安全な水で血液をサラサラにして元気な羊水をつくり、そして産後にはおいしい母乳を赤ちゃんに飲ませてあげられたらいいですね♪


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