蛇咬症

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 暑い季節になると人は活動的になり、薄着になります。同時に人に害を及ぼす生物もまた多く活動します。中でも危険な毒ヘビに咬まれたりした場合、どのように対処したら良いのでしょうか?その応急処置について説明します。

◆毒ヘビ(蛇咬症)(だこうしょう)
 国内に生息する代表的な毒ヘビはマムシ、ハブ、ヤマカガシの3種ですが、本州にはマムシとヤマカガシが生息しています。蛇咬症のほとんどがマムシです。

マムシ咬症

マムシの写真 マムシは体長40~80cm、他のヘビに比べ明らかに太く短いです。色は茶色~こげ茶色で黒の銭型模様(楕円形の斑紋)が左右に1列ずつ交互に並び、頭は三角形に近く、頭頂部に左右対称の輪板があるのが特徴です。目とは別にピットと呼ばれる熱(赤外線)探知の器官を持っているので、暗闇でも獲物を正確に捕えることができます。毒を分泌する毒牙が口の前方に一対あり、咬まれると毒が抽入されます。

【症状】
 咬まれると毒牙により毒が抽入され、直後に局所の電撃痛があり、比較的速やかに腫れると同時に暗赤色に変化し、次第に体の中心部に向かって腫れが進んできます。咬まれた場所には二つの牙痕が見られます。毒の量が多いと腫れが体の中心部まで進み、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状や頭痛、気分不良、動悸などの全身症状、物が二重に見えたりします。(神経毒)
重症になると意識障害、呼吸不全、血圧低下し、出血傾向が出て、血尿が出現し、腎不全を起こすと死亡することもあります。(出血毒)

【応急処置】
 まず、ヘビを観察し、咬まれたところの牙痕と痛み、腫れや色調を確認します。マムシでないことを確認し、痛みが軽く、腫れも無ければ病院に受診する必要はありません。しかし、マムシであれば、咬まれたところより心臓に近いところを軽く緊縛(皮下の静脈が浮き出るぐらい)して、傷口を洗い、毒を絞り出し、できれば口で毒液を吸って、吐き出して下さい。
 次に局所を安静にし、腫れているところを冷やして、医療機関に受診して下さい。毒はしばらく(3時間程度)局所に留まるため、受傷後、時間があまり経っていなければ切開し、血とともに毒を排出します。その後は入院治療を原則とします。

ヤマカガシ咬症

ヤマカガシの写真 ヤマカガシは体長60~120cm、マムシのように太くなく、頭も大きくありません。体色は黒褐色で背側に黒い斑紋があり、体の前半の横が赤みがかることがありますが、変異が大きいです。一般的には赤と黒のまだら模様が特徴です。幼蛇は黄色い首輪模様が特徴です。マムシのような毒牙はなく、奥歯で咬まれると毒が抽入されます。普通、咬まれても毒が入ることはまず無いので、過剰に恐れることはありませんが、口の中に指を突っ込んだりしてはいけません。

【症状】
 毒は血液を固まりにくくする作用があり、出血、血便、全身皮下の出血が起こります。頭痛、嘔吐、リンパ節の腫張、意識混濁、腎不全などが起こります。(出血毒)

【応急処置】
 マムシとほぼ同様です。

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