慢性静脈不全

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慢性静脈不全のお話

慢性静脈不全の足 慢性静脈不全というのは非常に聞き慣れない病気だと思います。実際に医療従事者の中でも知らない方は非常に多いのですが、患者さんはそこら中におられます。
 腰や股、膝の調子が悪く歩き方がぎこちなかったり、またはずっと車イスに乗っておられる方に多いのですが、ひどく脚がむくんでいたりします。患者さんによってはスネから足首の辺りに変な湿疹ができて皮膚科の薬を塗っているのに治らなかったり、赤みが出てきてひどく痛くなって、近くの病院で炎症や化膿止めのお薬をもらって飲んでいるのに一向に治らなかったり…もう少しひどい方は、小さい引っかき傷が500円玉くらいの大きさに広がって治らなくなったり、そこから汁が出て止まらなくなったりと。これ実は全部ひとつの病気です。静脈というのは心臓に血液を返していく血管です。静脈の血液が心臓に返るのには血管に異常が無いことも重要ですが、足首の関節やふくらはぎ、スネなどの筋肉が有効に使われていることも非常に重要です。静脈の病気というので、血管外科に紹介されて超音波検査をすることもありますが、しばしば“異常なし”と言われて、その後どうしようもなくなったりします。超音波検査でみえるのは血管だけですから、脚の使い方はその気で診なければ分からないのも当然ですね。
 慢性静脈不全は脚の静脈血が心臓に返れず脚に溜まってしまい、筋肉や皮膚の血の巡りが悪くなって起きる病気です。先にお話しした脚のむくみ、湿疹、赤み、痛み(静脈うっ滞性皮膚炎)、治りにくい傷(潰瘍)は全て静脈血が脚に溜まって起き得る一連の症状です。進行すると痛くて歩けなくなり治療に1~2年かかることもあります。
 治療は圧迫(包帯やストッキング)と運動療法が主体になりますが、我流の包帯で思い切り締めあげたり、適当なストッキングを買って履いても良くならないどころか悪くしてしまいます。またむやみに運動をしても効果がなく、上手な脚の使い方を理学療法士に指導してもらう必要があります。
 心配な方は一度、当院外科外来でご相談を。

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